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陰翳礼讃〜認めて利用するからより引き立つ〜
陰翳礼讃とは、谷崎潤一郎の随筆。まだ電灯がなかった時代の今日と違った日本の美の感覚、生活と自然とが一体化し、真に風雅の骨髄を知っていた日本人の芸術的な感性について論じたもの。
建築を学んでいくにあたり必読書的に紹介される『陰翳礼讃』。多分に漏れずウチの書棚にもあります。学び始めにはイマイチわかりませんでしたが、最近は計画に盛り込まれています。TOPの写真は現在絶賛施工中の内部からの一枚です。
ウチでは『基本性能』×『感性デザイン』×『生活デザイン』=質の高い暮らし→心地良さ(well-being)へとつながるものであると考えています。【岐阜の日本一のパッシブデザイン工務店と言われるLivearthさんのほぼパクりですが、とても共感したので当分はコレで】。その中の『感性デザイン』に当たる部分となります。
僕自身明るい事は良い事なのか?という感覚は常にあったので、建築を学んでいくうちに重心を低くすることでプロポーションが良くなるだとか、開口部の設け方によるヌケ感などの中で「手前を絞る事で奥行きを演出する」計画がとても心地よく感じると知った。それと照明の重心を低くする事による心地良さを体感して再現を試みている。
建築のより深くを学び始めたのはコロナ禍である。それまでは専ら本からであったので、どんな本を買うかは自分の想像の範囲からとても飛んだうえで広がりを感じることはとても少なかった。しかし、コロナ禍によりオンラインにおけるセミナーや講義を受ける事ができるようになった。浦河町や様似町、えりも町においては市へ接続するにも車で2時間以上かかる地域。市へ2時間以上かかる地域は他にはない。そういった地域は『陸の孤島』と言って過言ではないと思うので最近はこのフレーズを多用しています。セミナー、講義は今までもあったのですが近くて札幌、大抵は東京だったので2日もしくは3日要する点から諦めていました。が、オンラインで受けることができるとなってからは週2〜4本は受けてきました。そのおかげでウチのレベルはこの3年で大きく上がったと自負しています。体系的に学ぶことであったり、先端の工務店の考え方であったり、まったく知らない理論を聞いたりする事でとても飛躍しているのだと思います。
色々なことを学ぶうえでまずは受け入れる。受け止める。をしたうえで自分のフィルターを通してアウトプットする事でウチびフィットするか、どのようにアジャストさせることができるのかを探ることが必要だと考えます。
そのアジャストの中で意識するのはエシカルであるか。エシカルとは倫理や道徳です。言いかえると【五方よし】。五方とは(相手よし、世間(社会)よし、自分よし、未来よし、作り手よし)です。そのうち少なくとも三方よしにならなければいけないと判断基準を設けています。
陰翳礼讃から学ぶ事は五方よしへとつながるという事。エネルギーを要せず心地良さを得ることができる。それはデザインで可能となる。デザインは総合力である。テクニックよりも考え方。『手法の前に、思想』や『不易流行』なのだと。陰翳礼讃より一文を引用する。
何にしても今日の室内の照明は、書を読むとか、
字を書くとか、針を運ぶとか云うことは最早問題ではなく、
専ら四隅の蔭を消すことに費やされるようになったが、
その考えは少なくとも日本家屋の美の観念とは両立しない。
浦河町から
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