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本からの学び〜「ふつうの暮らし」を美学する〜
2025年の1本目は【「ふつうの暮らし」を美学する】から。
ウチでは家(house=建物)ではなく、イエ(home=帰る場所)と定義しています。それは言いかえると『暮らし』のための場所です。『暮らし』とは日々の生活。生活とは「生存して活動すること、生きながらえること」「世の中で暮らしてゆくこと」である(広辞苑より)。
近年どのように伝えるとよいのかを考えているのですが、未だみつからない。そこで本屋で出会ったのがこの1冊。家から考える「日常美学」入門とサブタイトルがうたれているとことに惹かれました。まえがきには
本書は、日常生活をよりよいものにしていこう、という型破りの提案をすることは目的としていません。いわゆる「ていねいな暮らし」を推奨するものでもありません。ここで目指すのは、あくまで日常生活を見つめるためのことばを得ることです。
家とは本来、日常生活の場です。しかし家を建てる際には、生活が蔑ろとは言いませんが、最重要とはないように感じます。間取りを考える際に考えているといわれます。
間取りの「間(ま)」は元来距離を表す概念であって、日本の建築の分野では柱と柱の間の長さをこうよんだ。これはやがて空間を示す言葉としても使われるようになり、室町時代には ” 部屋の広さ ” を表す概念としても使われるようになった。一間(ひとま)は、柱間一間四方つまり通常は6.5尺(約197cm)四方の空間(二畳敷の空間)を指し、これを単位として室空間と建築空間を構成することを間取りと呼んでいた。
日本では昔は、女性の居住空間を、建築物の「北側」や、建築物の外部からの入口を基準にした相対位置が「奥」になるように配置する傾向が強かった。このことから、他人の妻の呼称として「北の方」「奥様」といった言葉が生じた。昭和時代ころまでは、台所を北側に配置する傾向があったのは、おそらくこの名残と考えられている。台所と食事場所を離して配置していた昔はそうした傾向があった。
しかし近年は、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)など台所と食事をする場所と家族がくつろぐ場所を一体化させる空間づくりが一般化し住居の最南部に位置するリビング・ダイニングに接する位置に配置されることが増えてきた。
(Wikipediaより)
よくみられるのは、間取りを考える際に考えているのは生活動線だけな場合。更には「今」の状況においてのみ。というのが散見されます。家を建てるとなる動機としては、子供が生まれるや増える、大きくなって手狭という点からが多いです。その時の考えられる部分のみで作ってしまうと、後々とても生活がしにくくなります。だから『可変性』があるイエづくりを心がけています。
また、『暮らし』には生活動線だけではなく環境が大切です。「日常美学」だけでなく、1970年前後より「環境美学」と呼ばれる分野が発展をつづけてきた。と、あります。
環境美学はまず、人間の手が入ってない自然の美的鑑賞のありかたについて議論するところから、現代の自然美論をスタートさせていきました。ところがそうすると、今度はどこまでを「自然」と呼べるのかという問題が発生してきます。人間の手がまったく入っていない自然は、すでに地球上においては非常に限られています。また、都市や田園など人間が作り上げた環境の中にも、自然の要素は残存しています。
そこで1990年代頃から、自然と人工の要素を併せ持つ複合的な環境も環境美学の議論対象として組み込まれていくようになります。この動きによって、私たちの日常生活へと関心が向けられていきます。手つかずの自然は、私たちの多くにとって日常生活の場ではなく、たまの旅行などで訪れる非日常の世界であると言えるでしょう。これに対して新たに関心が向けられるようになった諸環境は、まさに私たちが日々の生活の舞台としているような場所です。
それは私たちの生活が始まる以前に設えられて舞台ではなく、むしろ私たちが日々を生きることで作り出されていく場であるといった方がいいでしょう。この、私たちがつくり出すものであるという点は、日常美学を考えるうえで重要なポイントになっていきます。
と、あるように自然を日常に取り込むことは日常美学につながります。日常は連綿と続いていきます。環境とは「外」です。「外」を日常に取り込むこと、前述にあるように非日常を取り込むことに日常美学を体験できるということである。
それは家が居心地のよい場所への要件の一つであると考えます。家が居心地のよい場所として成り立つことは、より善い『暮らし』につながります。それはQOLにつながります。QOL (Quallty Of Life)は生きる上での満足度(快適さ)を表す主観的概念です。QOLを高めるには間取りだけではないです。構造や断熱・気密、間取りだけではなく窓取り(開口計画)を「今」だけでなく「将来」においても考え提案することが『つくるプロ』として必要です。
「ふつうの暮らし」がQOLが高い状態。それは、日本一の工務店といわれるシンケンさんの『ふだんを、いちばんの幸福に。』という思想にも通じます。やはり家ではなくイエ。帰る場所。つくることや持つこと、ではなく、使うことに視点を注力したうえで外観などデザインを整え、風景に調和するようなイエづくりをしてゆくことが次世代のためにもつながると考えます。日常美学、環境美学的観点からも!
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