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火事とは成長する災害
能登半島地震によって輪島市「朝市通り」はそのほとんどが消失した。200棟ほどである。木造であり、消火栓が使えなかった、元々密集しているうえに倒壊や道路が使えないところもあり広範囲が焼失してしまった。
なぜ燃え広がったのか?
住宅医で「防火性能の改善と対策」安井昇(桜設計集団一級建築士事務所代表/東京大学生産技術研究所リサーチフェローなど歴任)先生の講義を受けて、とても目から鱗であったので要約して書いてみます。
【木が燃える】
ものが燃えるには「可燃物」「酸素」「熱源」が必要です。木が燃えるには、木から発生する「可燃物」ガスが燃えているからです。ライターなど「熱源」を近づけると温度により変化していきます。
~100℃水分が蒸発する。
~200℃熱分解がおこなわれて、可燃ガスが発生する。
~250℃引火する、煙が発生する。
~300℃割れを生じ、可燃ガスが噴出し、材内部が炭化し始める。
~500℃煙のでない赤熱燃焼をし、炭が消失。
木そのものではなくガスが燃えている。炭化して炭が消失するまでは500℃必要です。しかし焚火したことある方なら体験したことがあるとおもいますが、太い木は燃えにくいです。表面は焦げて燃えていきますが、燃えた部分が炭となり、炭化した層を形成します。これにより、木の内部にまで熱が伝わりにくくなると同時に燃焼に必要な「酸素」が内部まで供給されず、燃焼の進行を抑える役割となります。実際倒壊しない場合は
全焼 3.2%
半焼 3.2%
部分焼 17.7%
ぼや 75.9%
(平成30年中の火災の状況/東京消防庁)
と圧倒的に一部だけなのです。それは『燃えぬかない』事が大切です。住宅の内部には石膏ボードが張られています。石膏ボードとは、
石膏ボードの芯材は無機質の石膏ですので、燃えることはありません。石膏には、約20%の結晶水が安定した形で含まれています。これは、ボード1枚に、3kgの水を含んでいる計算になります。火災時に石膏ボードが高温にさらされるとこの結晶水が熱分解し、水蒸気となって徐々に放出され、温度の上昇を遅らせる働きをします。また、石膏そのものが、伝熱を防止するバリアの役割を果たします。石膏ボードは、こうした石膏の特性によって、防火材料に認められています。そして、壁の防・耐火構造の材料として、あるいは柱や梁の耐火被覆材として多用され、火災の延焼防止に効果を発揮しています。
(一般社団法人 石膏ボード工業会HPより)
と延焼防止となっています。更に防火地域などにおいては窓も防火となっており、『燃えぬかない』建築となっています。
外装においても木板は有効です。木板張りの場合多いのは縦張りで押縁もしくは大和張りといわれる、板と板の間に隙間を設けその部分にもう一枚材を張る形です。それは雨水が切れやすい点と湿度により動くので追従できるようにする点からです。なので、隙間が少ない状態になります。一般的使われている窯業系サイディングはシーリングが多く使われています。例えば開口部やサイディングとサイディングの間に使われています。サイディング自体は燃えにくくて強いのですが、シーリングは熱にとても弱い。なので、シーリングの部分から火が入ってしまう。『燃えぬかれる』状態になります。鉄骨造は高温度になると変形してしまいます。ガルバリウム鋼板も同様で変形によりつなぎ目の部分があいてしまいます。
その点からも【出火しない木造】【急激に広がらない木造】【消せる木造】にすることが大切なのです。
ウチもそういった部分にも配慮したイエづくりをしていきます。
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