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「ふつうでよい」ってなに?~温熱環境について~
前回の『イエづくりにおいて初めに考えてもらうこと』(9/16)において温熱環境について書いていなかったと思い書いています。
温熱環境:人が住宅に住む際に、暑くも寒くもなく快適であると感じられる温湿度環境のこと。温度範囲だけでなく、蒸し暑い、乾燥しているなど湿度に由来する要因も、温熱環境に含まれる。温熱環境はエアコンなどの要因でも左右されるが、設計時に太陽光や風通しと言ったことについて十分検討しているかが重要。例えば、周囲の環境を十分に調査して、日当たりの良い部屋にする。その地域の夏と冬、それぞれ風の吹き方を考慮して快適に風が通るよう窓を配置するなど、周りの自然環境について良く検討することで、快適な温熱環境を実現。また、建材の選択によっても温熱環境は変化する。
引用:東建コーポレーション株式会社>建築士用語集より
ウチは先代の頃から取り組んできたという自負があります。30年ほど前から「第一種熱交換換気・暖房システム」を採用していました。換気とは、屋外からきれいな空気を給気して、室内で発生した汚れた空気を室外に排気することです。給気と排気を共に機械でおこなうことを第一種換気と言います。もうひとつ一般的なのは排気のみ機械で給気を自然におこなうことを第三種換気と言います。そして給気の際に外気温と室内温度に差があると冷暖房に負荷がかかるので排気により給気の温度差を少なくするシステムを言います。温度差を少なくすることで光熱費の抑制につながったり、結露が発生しにくくなります。そして暖房システムによりイエ全体に暖房熱を配るためどこにいても同じ温度であるようにするのが「第一種熱交換換気・暖房システム」です。これを採用するにあたり当初にやったことが高気密・高断熱化でした。風で温めるためには隙間をなくすこと、そして熱を逃がさないことが必要です。とくに気密においては重要視しており1997年の自邸(実家)における気密測定でC値0.9mm2/m2と聞いていたので、かなり当時では高気密だったのではと思います。また高性能グラスウールをはじめネオマフォームなどを積極的に採用して取り組んできたため、現存の大工さん達は変化に対する許容は他社の大工さんと比べて大きいと思います。
なぜ先代がそのように取り組みをしたかというと「あたりまえ」に暖かい状態にしたいからと言っていました。旅行など行って帰ってきたら寒いという経験は団地住まいだったのでたくさん経験しています。せっかく一軒家なのだからどこへ行っても暖かい状態にする。を目的に色々と学んでいたと言っていました。雑誌やメーカーさんから見聞きしながらつくりあげたのだと思います。僕たち世代となっても同じで「あたりまえ」に暑さ・寒さをイエからは取り除きたいと考えています。温熱に関する「ストレス」がない状態を目指しています。更に昨今のエネルギー価格の上昇を考えると光熱費に対しても「ストレス」がない状態を「将来」的にも続けられるように考えて計画・提案しています。それは生活の一部であるから変わらない部分です。
時折「断熱や耐震は「ふつう」でよいから、こっちにお金かけたい」と言われるお客さんに出会います。「ふつう」ってなんでしょう?
これはイエづくりについてを説明するためにつくった資料の中で断熱等級について書いたものです。日本の省エネ基準はかなり送れています。UA値(こちらに書いてあるのは6地域(東京など)です。日本と世界との基準として)で見た時に2025年に義務化される断熱等級4ではヨーロッパでは存在しない基準、中国・韓国でも違法なレベルです。建築基準法で言っているのは最低基準なのです。基準を満たしているからOKだとか、UA値を下げるために窓を少なくしたり、小さくするというのは「住む」という観点からは本末転倒です。「住む」ためのイエを建てるはずがハイスペックなイエを建てるに変わってしまいます。
ウチでは温熱環境については『一般の住宅の半分以下の暖房費で全室暖房が可能になる住宅』としてQ1.0住宅を標準としています。
この浦河や周辺地域においては暖房時のみを考えます。(今年を考えるとゆくゆくは変わっていくでしょうけど)暖房時は逃げる熱と暖める熱が同じなら室温が保たれるので暖房エネルギーを減らすには、
断熱材を厚くしてQを小さくする。
換気の熱回収をする。
日射熱を増やす(日当たりの良い南の窓を大きくする)
そういう点を考慮して「あたりまえ」に熱くなく・寒くなく、光熱費にそれほど心配することもない「ストレス」フリーなイエを提案しています。イエが「ストレス」かかる場所であれば『帰る場所』とはなりません。イエが光熱費に追われるような場所であれば長く使われつづけません。ですからウチの温熱環境のふつうはQ1.0住宅です。お客さんに選んでもらうことはしません。「あたりまえ」水準だからです。
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