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イエづくり

大地のつくりからイエづくりを知ってもらう

大地のつくりからイエづくりを知ってもらう

堺町小学校6年生の授業にお邪魔してきました。

現在理科で「大地のつくり」を学んでいる一環でお声がけいただきました。神馬建設についての紹介とイエづくりと大地の関係をお話しさせていただいて一緒に「なぜ勉強するのか」を話しました。イエと大地の結びつきから生活に欠かせないものとして【知識】【経験】【仲間】という人生における資産についての話。小学校6年生には難しいかも知れません。しかし僕が小学校5年生の時に『子どもの人権』について早稲田大学の方がいらっしゃったのを記憶しています。内容はほとんど憶えていないけども子どもにも人権はある!というのはしっかりと記憶してその後の生活にひとつのエッセンスとなっています。

そんな授業で話した内容を今回はお送りしたいと思います。


目次

【イエづくりと大地】

【イエづくりと生活】

【生活に欠かせないもの】

【最後に】


【イエづくりと大地】

イエづくりで大切な事は『土地を読み込むこと』。全く同じはないから!

大地とは天に対しての地。又は広大な土地のことを指します。土地とは敷地のことです。イエを建てる場所。

「読む」とは「解読する・推測する」に近い。「敷地を読む」とは、”周辺環境や町並み・地形を読むこのことと、光や風・音、視線や眺望など敷地の持つ特色を読むこと、そして法的な規制や情報を読むことの大きく3つ、それらの性質を理解し分析すること”です。

具体的には、どんな家づくりも暮らしへの「想い」から始まります。敷地を正しく読み取ることは、プラン作りにおいて最も重要な要素です。周囲の環境、人の流れや車の流れ、隣家などの周辺建物との状況、風の通り、日射の様子、形状や大きさ。方位、高低差、敷地に入るための動線などそれによってどんな家を建てたらよいのかが見えてきます。敷地の外からどのように建物を見せるのか、家の中にどんな場ができるのか。敷地の特製をつかむと同時に、住まい手にとって大切にしたいもの、予算のバランス、一つ一つの条件を整理していくうちに住まいの骨格が見えてきます。

その根本には「どのようにして」成り立ったのか?を知るとより鮮明に推測することができます。

 

「第一章 日高の自然」

・日高の山は「中生代白亜紀に褶曲」してできたもので、古い地質学概念をゆり動かす所。

・河川流域は今は沃野と化し、田園開け「最適の農耕地帯」となる。 他は緩やかな段丘地で放牧に適す。

・日高の名に相応しい「温暖さで、少雪」であるが、降水量は山脈に近いほど多い。

参照:日高振興局HP>【超三倍速】で日高の歴史が理解できる!>【概略版】日高のあゆみ~日高支庁百念記念誌~より

 

古い地質学概念を揺り動かすところとして、アポイ岳があります。北海道にある5つの日本ジオパーク(三笠、白滝、洞爺湖有珠山、アポイ岳、十勝鹿追)のうち2つがユネスコの世界ジオパークに認定されています。 それが洞爺湖有珠山とアポイ岳であり、このアポイ岳は世界的にも稀な地質的価値を有しています。アポイ岳は、地球の内部の上部マントルの岩石であるカンラン岩によって構成されており、ここのカンラン岩はほとんど変質していないことが特徴です。またアポイ岳は形成されてから一度も海面下に沈んだことがありません。つまり、誕生した当時(約1300万〜4000万年前)の植物がそのまま残っているということです。このように、アポイ岳は数千万年前の当時の地球を知ることができる極めて貴重な場所といえます。また、 日高山脈襟裳国定公園もあり、手つかずの雄大な自然を感じることのできる数少ない場所なのです。

大地は気候にも密接に関係しています。浦河は対馬海流(津軽海流とも言われる)と千島海流という暖流と寒流が交わる場所です。

胆振・日高の太平洋側は夏は冷涼であり、沿岸部では30度を超えることは非常に少ない。これは南方から吹きつける高温多湿の熱風が親潮の上を通って冷やされるためで、沿岸の町は海霧に覆われることも多い。冬季は伊達や室蘭のある胆振西部や日高南部の沿岸部は温暖な一方、内陸部は放射冷却により冷え込み、夜間や朝方は-25度まで下がることも少なくないが、雪は多くない。特に沿岸部は冬の日照時間も多く日中は比較的暖かくなるため、一年を通じて穏やかで過ごしやすい気候と言える。

参照:Wikipedia>北海道の気候より

そして雪が少ないのは日高山脈があるためです。十勝側で降ります。西高東低の冬型の気圧配置となった場合に湿った東からの風が日高山脈で急上昇したり、地表付近に残っていた寒気に冷やされるためです。

 

【イエづくりと生活】

家(house=建物)とイエ(home=帰る場所)の大きな違い

今だけでなく将来においてもストレスフリーな居心地の良い場所。そのためには大地(土地・敷地)を読むことが大切です!

地形とその成り立ちを知ることは、自然・地球と共存する事ができます。太陽の熱を効果的に遮ったり、取り入れたりすることで涼しくも暖かくもできます。風を入れて効果的に抜くことでより快適性は増します。自然のチカラを利用するイエづくりを『パッシブデザイン』と言います。パッシブとは「受動的」「受け身」です。反対語はアクティブ「能動的」「積極的」です。イエづくりにおいては機械を使って快適を目指すということです。イエは住まうものです。長く住みつづけます。その間にエネルギーを使うということはお金を使い続けるということです。

エネルギーは年々価格は上昇します。と言うことは年々光熱費は増加します。住まうには初めにかかる費用であるイニシャルコストと住まうためにかかる費用であるランニングコストがあります。それらを合わせた費用がイエの生涯費用=ライフサイクルコスト(LCC)となります。LCCを考慮したイエづくりをすること、それが『関わるすべての人々の心と身体を豊かにする』であります。

それは、今だけでなく将来においても!

「なぜ」今だけでなく将来においても!なのか?

イエは生涯で『一番高い買い物』のひとつに数えられます。ローンを35年~40年組んで買う方が大半です。支払いしているのに経年で『心と身体を豊かにする』ことが叶わなくなるのは解せないともしも自分自身だったら思います。将来においても変わらないことは何でしょう?気候は変わっても太陽の位置は変わりません。ですので太陽に素直な設計をしています。シミュレーションをして周辺環境も含めて確認しています。

 

【生活に欠かせないもの】

イエは住まう場所と言ってきました。住まうとは「生活をし続ける」ことです。

生活に欠かせないものとはなんでしょうか?それは仲間。仲間とは、家族や親戚、友人、近助、地域の方々など。助けてくれる人を指す。仲間を言いかえると依存先ともいう。それは困った時にお願いできる先でもある。『自立とは依存先を増やす事』(熊谷晋一郎/小児科医(脳性麻痺があり障害がある))と提唱されているように自立って自分ですべてできる事とおもわれがちですが依存先が数多くある状態。依存先がひとつであればそれは従属関係となってしまいます。

イエは地域に置かせてもらう事です。地域で住まうにも依存先がなくては生きていくことはできません。

例えばどんなにお金があってもお店がなくてはご飯をつくったり、食べることができない。ネットで頼んでも運送屋さんがいなくては運んでくれません。周りに多くの方々が住んでいるからこの地域に運んでくれますが、ぽつんと一軒家には中々運んでくれなくなります。ひとは一人では生きていけません。それぞれの存在によって社会が成り立っています。苦しい時、しんどい時、困ったときは、一人で悩まないで、近くにいる人や行政に相談していいのです。隣人同士どこかで迷惑をかけあい、助け合いながら生きているのです。それがお互い様というものです。べたべたした付合いはせず、プライバシーに深入りせず、普段から気持ちの良い挨拶ができる「ほどよい距離感」で、隣人に少しだけ関心を持つことです。地域だけでなく出先でも、学校でも、会社でも、隣人が困っているな、変だなと思ったら、近くにいる人がためらわずに声をかけ、助ける人になる、傍観者にならない心、それが「近助(きんじょ)」です。

互いに近くで助け合うことを「互近助(ごきんじょ)」と呼んでいます。

互近助という考え方(思想)は、個人だけでなく、地域、自治体、国家間にも欠かせないマナーであり礼節です。お互いの間にあるボーダー(境界)を超えて同じ人間同士、同じ時代、同じ惑星で生きる運命共同体として、困ったときは互いに助け合うという思想です。医薬品、食糧、生活物資が不足した時は、他から分捕ったり他国を侵略するのではなく、素直に助けを求めていいのです。そして、皆は一人のために、一人はみんなのために互いに近くで助け合うのです。苦しい時に助けられた人はそれを決して忘れません。それが戦争のない平和な世界をつくるのだと思います。

参照:『互近助』/山村武彦(防災・危機管理アドバイザー)より

 

【最後に】

人生における資産として【知識】【経験】【仲間】と言われます。コレは学生時代に形成できる資産です。よく勉強して、色々な経験をして、仲間をつくる事は徐々に社会へ出ると機会を奪われます。だから『今』を精一杯楽しむ事が大切です!

【知識】は学習から得られるモノです。学習とは学び・習うこと。習うとは繰り返しやってみて身につける事です。

「学校の勉強はいつどこで役に立つんだ?」

そう思っている人は多いと思います。その答えは誰もわからないのです。様々な生き方・人生の中でなにがいつ役に立つかわからないから、頭の引き出しに入れておくのです。その必要になった時に『おもいがけず』思い浮かび使う事になります。

【経験】は行動からしか得る事はできません。

だから色々な事を義務教育内ですると思います。家庭科はまだ生活に結びつくと思いますが音楽や図工など「どこでつかうのよ!」と、思います。しかし、社会に出てプレゼンする際にその要素は大いに発揮されたりします。自分自身にその資質があるのかどうかを知るためにも数多くの経験をすることが大切です。

それは地域も一緒で「ないものねだり」ではなく「あるものさがし」をする事。

できないを見るのではなく、できることに注目する。悪いことよりも良いことを探す。そういう目を養うのも【経験】からです。そしてより善くなると「あるものさがし」から「あるものえばり」ができます。それは他との違いをより善く知る事になるからです。

【仲間】は手を差し伸べることが大切です。

趣味が合うとか話して楽しい。という点で友達になるかもしれません。が、仲間は『困った時に助けてくれる』人です。「こいつのためなら今すぐいくよ」と思えるかどうか。「助けたら助けてくれるから」とか「助けたらなんかくれる」という『損得勘定』抜きでそう思えるかどうかです。【仲間】をつくるために大切なのは自分から進んでやるということ。まずは自分から開示をすることが大切。「自分はどう思う」「自分はなにが好き」と自分の心を開け放つ事が大切なのです。

資産とは『将来的に収益をもたらすことが期待される経済的価値』です。

人生の資産【知識】【経験】【仲間】はどこにでももっていけて、誰にも奪われることのないものです。学校生活でできるだけ多く形成することは確実に『心と身体を豊かにします』。


小学生にわかるわけない。と仰る方もいるでしょう。難しくもっと簡素にという方も。しかし赤ちゃんの頃から複雑なまま吸収して自分の理解をつくっています。感じたモノを解釈して意味づけをする。「おもいがけず」降ってくる、現れるフレーズがひとつでもあったら幸いです。

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