僕は今、公共交通のtoG(行政向け)スタートアップにインターン生として参画している。でも、実を言うと、地方に対しては今までの人生でそこまで縁はなかった。
首都圏で生まれ育った僕にとって、地方は語る対象ではあっても、自分の目で見て、肌で感じた場所ではなかった。地方のことを語っているのに、地方を知らない。それは不誠実だとかねてより感じていたため、この夏休みに浦河町へ行くことにした。
まず驚いたのは、気温だった。8月なのにとても涼しい。東京の8月は外を歩くだけで汗だくになるのに、浦河は気温が東京の5月ぐらいで、風が気持ちいい。こんなに過ごしやすいなら、夏の暑さで体力を消耗することもないんだな、と実感した。
海もきれいだった。太平洋をそのまま見渡せる海岸線で、東京で見る「わざわざ行って眺める海」とは違って、暮らしのすぐ横に海がある。
そして浦河は馬のまちだ。自転車で20分も走れば、馬と触れ合える牧場に着く。日本有数のサラブレッド産地で、馬のいる暮らしが当たり前にある町だ。
夜も賑やかだ。商店街には飲食店やスナックの灯りがともって、小さな町なのにちゃんと夜がある。お店ではよそ者の僕に「どこから来たの?」と気さくに話しかけてもらえて、出会った人の顔がずっと記憶に残る町だった。
人が少ないぶん、人との出会いが貴重で、だからこそみんな優しい。東京では人が多すぎて、気持ちに余裕がなかったのが、こうも違うのかと感じた。
あと、浦河には森の幼稚園もある。「フレンド森の幼稚園」という、森あそびを大切にする園で、「子ども第一主義」を掲げている。しかも「保育園留学」という制度まであって、外の地域から子どもたちが来ている。森が庭の幼稚園がこの町にあるのも、浦河ならではの魅力だと思った。
魅力ばかり書いたけれど、この町にも課題はある。観光協会と森の幼稚園で話を聞いて、ある共通点が見えてきた。
森の幼稚園は、毎年リピーターが来るほど根強い需要がある。しかし、幼稚園の先生の人員が足りていないという。
観光協会は、短期滞在の観光客向けの居住地を紹介している。でも、そもそもそういう居住地が少ない。紹介したいのに、紹介できるものが足りない。加えて、居住地を作り出す人材も足りていないという。
つまりこの二つに共通していたのは、
ということだった。
一週間この町を見て、話を聞いて、僕は考えた。
日本の多くの地方は、これから人口が減っていく。移住施策を打てば多少の人は来るかもしれないけれど、全体の流れを反転させるのは難しい。人口減少は、おそらく地方の運命なのだと思う。
ならば、考え方を変えるべきではないか。減っていくことを前提に、その中でどう一人ひとりが豊かに暮らしていけるかを考えることが大事なのではないか、と。
そして、それと両輪で、地域に人を増やす施策も打ち出していくべきだ。減る中でどう豊かに暮らすかを考えることと、人を呼び込もうとすることは、矛盾しない。むしろ、今の住民の豊かさだけを考えていては、いずれ人がいなくなり、町は消えてしまう。だからこそ、この両輪はセットだと思う。
魅力があるから人が来る。来た人が暮らしやすいから人が残る。
地方を語るのに、地方を知らなかった僕が、今なら少しだけ、浦河のことを語れる気がする。
人口が減っても、豊かに続いていく。そのような地方を実現できるよう、これからも頑張っていきたい。