神馬建設の2026年春のインターンに参加しました。大学で建築を学んでいます。山口です。
私はこのインターンを見つけたとき、地域密着型の建設業について知りたいという思いと同時に、観光がメインではない地方における建築やまちづくりに強い興味を持ち、参加を決めました。大学で建築を学ぶ中で、雑誌に掲載されるような洗練された建築や「意匠」に目を向けることが多かった私にとって、実際の地域の中で建築がどのように存在しているのかを体感したいと考えていたからです。
まず変わった点は、「意匠」の考え方です。
浦河の広大な海と山が織りなす風景の中で、人工物である建築は主役ではなく、あくまで背景として存在しているように感じられました。その体験から、これまで自分が学んできた「意匠」や、雑誌で目にするようなデザイン性の高い建築は、不特定多数の人に向けて設計されたものなのではないかという疑問が生まれました。
建築は人が使うことで完成するものです。だからこそ、浦河のように利用者が限定される地域では、建築が前に出るのではなく、豊かな自然や地域の暮らしを引き立てる「背景」としての役割を担うべきなのではないか、と考えるようになりました。この「建築が背景となる」という考え方は、神馬さんがおっしゃっていた言葉でもあり、今の自分の中に強く残っています。
また、実際に訪れた飲食店や喫茶店も印象的でした。外部と内部には緩やかな連続性がありつつも、内部には店主によって丁寧につくられた固有の世界が存在していました。
これまで建築学科で学ぶ中で、竣工時を建築の完成と捉えがちであったが、今回の経験を通して、建築は人が暮らし、使い続ける中で完成していくものであると考えを改めました。
生活面でも変化がありました。
その一つが、スマートフォンを見る時間が減ったことです。浦河では、ふと外に目を向ければ海が広がり、その表情は時間や天候によって絶えず変化しています。同じ場所にいても飽きることがなく、ただ眺めているだけで豊かな時間が流れていきます。そのため、自然と外に出る時間が増え、歩くことや自転車で移動すること自体が楽しいと感じるようになりました。
さらに、車で町から町へ移動する中でも多くの発見がありました。牧場の風景や、チェーン店が並ぶエリア、山の雪の積もり方の違い、建物のつくられ方など、それぞれの町に個性があることに気づきました。こうした小さな違いに目が向くようになったのも、この一週間の大きな変化だと思います。
東京に戻ってからはスマートフォンの使用時間は元に戻りつつありますが、確実に変わったこともあります。それは、散歩が以前より好きになり、歩いているときに花や雲といった身近な自然の変化に気づくようになったことです。浦河での経験が、自分の感覚を少しだけ豊かにしてくれたのだと思います。
ゲストハウスで出会った人たちとの交流も、私にとって大きな刺激となりました。専攻も年齢も住んでいる地域も異なる人たちが、インターンやワーキングホリデーをきっかけに同じ場所に集まっており、それぞれが異なる価値観や将来の考えを持っていました。自分とは違う視点に触れることで、自分の考えを見つめ直すきっかけにもなり、とても新鮮で面白い時間でした。また、地域の方々も温かく受け入れてくださり、外から来た人間としてではなく、一人の人として関わることができたように感じています。
そしてもう一つ強く感じたのは、「チャレンジすることの大切さ」です。一人行動が好きな私でも、全く知らない土地に一人で行くことには不安がありました。しかし、実際に一歩踏み出してみると、環境が自分を受け入れてくれ、人とのつながりも自然と生まれていきました。私は決して誰とでもすぐに打ち解けられるタイプではありませんが、この経験を通して、自分から少し勇気を出して関わることで世界が広がることを実感しました。
新しい出会いは、自分の視野を広げてくれます。そして一度挑戦すれば、その分だけ知識や経験が自分の中に蓄積され、自信にもつながります。この一週間で得た変化はまだ小さなものかもしれませんが、確実に自分の中で何かが動き始めていると感じています。