神馬建設の2026年春のインターンに参加しました。建築を学んでいる山口です。
今回は神馬建設さんが行っているイエづくりについて、建築を学ぶ学生の目線から書いてみようと思います。
私は東京生まれ、東京育ちのいわゆる都会育ちであったため、「建築と人の関係性」を体感することが難しく、まちづくりと人、建物という3つの要素のつながりが上手く捉えられずにいました。しかし、大学2年生のタイミングで都市部から少し離れた埼玉県に一人暮らしをすることになり、地域の交流イベントに参加する中で、「まちに住む」という感覚を少し実感しました。人と人との心地よい距離感や、イベントに参加するなどで社会と交流する機会を得たことで、建築が単体で存在するものではなく、もっと広い範囲の生活や地域の中で意味を持つものであると感じるようになりました。そんなときに神馬建設のインターンを知り、「まちに住む」ためのイエづくりとは何か、そして地域に明るい未来をもたらすために建築がどのように関われるのかを考えたいと思い、参加を決めました。
神馬さんに車で浦河のさまざまな場所に連れて行っていただく中で、私が最初に強く感じたのは、「建物の存在感の無さ」でした。東京では、多くの建物が権力や個性、主張を表現するものとして、目立つ見た目をしています。しかし浦河では、建築が前面に出るのではなく、あくまで背景としてそこにありました。積み重なった薪や放牧されている馬、広がる海とカモメ、そして多様な生物が息づく山の風景とともに、建築は静かに佇んでいます。それは単に控えめということではなく、人の暮らしと偉大な自然環境の両方を引き立てるための建築の在り方であり、人の暮らしと自然環境とを繋げる架け橋であると感じました。
神馬建設では、人の暮らしを丁寧に考えるために、設計から施工までのプロセスにおいて多くの対話が重ねられていることが印象的でした。施主の要望をただ形にするのではなく、その人が浦河でどのように暮らし、どのように地域と関わっていくのかという部分まで深く共有されていました。その対話の積み重ねが、最終的にその土地に根ざしたイエを生み出しているのだと思います。
どこまでも続く大きな自然が広がる浦河という土地においては、その環境に馴染む形状や大きさを持ち、静かに佇む場所をつくることが、長く住み続けられるイエづくりの基本になるのではないかと考えました。目立つことや新しさを追求するのではなく、風景の中に溶け込みながらも、確かにそこに暮らしが存在していると感じられるような建築。そのような在り方こそが、浦河においては重要なのではないかと考えます。
また、浦河での暮らしには、都市では人口密度の関係から効率が重要視されますが、浦河ではより良い生活を送るための「手間」が多く存在しています。薪ストーブの管理や雪かきなど、一見すると不便に思える行為も、実際には自然と関わりながら生きていくための大切な時間となっています。そうした手間のかかる行為を支えることもまた、建築の役割の一つであると感じました。単に快適さや効率を追求するのではなく、暮らしの豊かさをどのように支えるかという視点が重要であると気づかされました。
今回のインターンを通して、私は建築に対する考え方が大きく変化しました。これまでは、形やデザインといった視覚的な側面に重きを置いて考えることが多かったように思います。しかし浦河での経験を通して、建築とは人の暮らしや地域、自然との関係性の中で初めて意味を持つものであると実感しました。
今後は、単に目に見える美しさだけでなく、その場所に暮らす人々の生活や時間の流れに寄り添うイエづくりを考えていきたいと思います。